鏡をよく見て

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将軍暗殺篇第六話「仇」 感想

アニ銀感想です。言葉にできない。↓

すごい泣いた。声あげて泣いた……今も泣きながらこれを書いています。

暗殺篇に入ってなんとなく思ってたことですが、今回のこの話では特に、「ただ原作をアニメ化する」ということではないんだな、と強く感じました。

原作にはなかったカット、アニ銀独自の解釈、声優さんの演技……そういったものが加わることにより、全く新しい話をもう一話見ているような気分でした。

「こんな話だったっけ?」って見てる途中で何度も思いました。

正直、原作にないカットや演出をアニメオリジナルで追加したりするのは、すごく勇気のいることだと思うんです。

なのに、こんなにも「えっこんな描写見たことない」って箇所が多かった。それゆえに、すごく新鮮な気持ちでこの話を見ることができたし、予想もしなかったことの連続で、心が揺さぶられました。

原作の話は、いってしまえば空知先生がそのたったひとつの手で生み出した唯一無二の物語ですが、

アニ銀はそれに宮脇監督や、杉田さん、子安さん、山寺さんの解釈が加わってる。

たくさんの人の気持ちが携わることにより、「ひとつの物語」であったこの暗殺篇が、何重ものストーリーを描いていくような、そんな気がしました。

以下、思ったことを大きく分けながら書いていきます。

<OPのこと>

びっくりした……びっくりした。本当にびっくりした。

高杉と銀時の今までだった。歩みだった。

こういう……風なんですね……。てっきり前回は映像が間に合わなくてMAD風味になったのかと思ったけど、こういうスタンスのOPなんですね。

新訳紅桜の映像が流れたときから、もうびっくりして泣いてました。これ……私の起源です……。

グロリアスデイズの、バックで薄く過去の映像が流れてるっていう演出でも思ったんだけど、宮脇監督に代わってから「あーーー過去の銀魂をすごくリスペクトしてるんだな、愛してくれてるんだな……」っていうのをすごく感じます。

アニ銀は休止してた期間も多いけど、それを白紙の時間にしてしまうのでは決してなく、その空白をもつなげて埋めて、結びつけてくれているんだなと強く感じました。

紅桜、アニメツアーの映像、傾城篇ときて……宮脇監督の名前が出るタイミングがかっこよすぎました。そこで……その二人がすれ違うタイミングで出てくるなんて……!

めちゃめちゃかっこいいOPだった……高銀の20年間がここにある……。

<アニメ独自の演出>

最初にも書きましたが、原作にはない演出が追加されてるのが本当に多かった。

そのおかげで、登場人物の感情に奥行が生まれていると思います。

・「松下村塾へようこそ」の夢を見て、目を覚ました高杉が少しだけ笑ってるように見えるとこ。また、そのあと感触だけで刀を手繰り寄せるとこ

→よく見ると口角が上がっているような気がする。村塾時代の思い出が、高杉にとってどれほど優しいものかが伺える一瞬。そのあとの、刀に手が当たったことにより刀を手繰り寄せるシーンもすごいです。高杉がもはや感覚だけで動いてることが分かる。

・「俺達を止められる奴は、もう俺達しかいねェんだよ」のあと、高杉の手がガタガタ震えてるカットが追加

→えっこんなの知らないぞってすごいびっくりした。よく見ると手が震えたあとに刀をしっかり握り直してる。

先生の幻影が銀時に重なり、ほうけてた高杉が銀時の姿を認識して「斬るべき相手だ」と瞬間的に思ったことを表しているんじゃないだろうか……。ここの描写はすごく良かったです。手だけでこんなに高杉の感情を表すなんて。

・「潰れた左目で」のところで、高杉が左目を開けるような動作、または目をしかめるような動作をする

→高杉の左目がもう開かないことの強調でしょうか……。

・「あの頃映した憧憬も~」からの瞬き

→瞬きの演出が追加されたことにより、回想シーンが「高杉視点のもの」に変更されてた。直前で「俺の閉じたこの左目は」と言ってることから、この光景を映してるのは左目のはず。もう二度と開かない左目が、まだ瞬きをしていたときのことなんだ……と思うと余計に胸が痛かった。

前回の「戦闘中に高杉の足だけのカットが追加されたことにより、回想シーンを高杉自身が思い出しているんだ、ということを強調している」ということからも思ったんですが、「これは高杉視点なんだよ」ということをちょくちょく投げかけられている気がします。

今まで高杉の内面が描かれてこなかった分、彼視点で物語を見ることは新鮮で、それでいて衝撃を受けます。

・銀時が先生の約束と高杉の約束を思い出したあと、刀を手繰り寄せるカットの追加

→しかも地面に指の跡までつけて。一番最初に書いた高杉のときもだけど、ただ刀を握るのではなく、「手繰り寄せる」という行動を描くことで、どれだけ必死なのか、力を振り絞っているのかということを如実に描写していると思います。

・先生の首を刎ねるシーン、高杉視点と銀時視点の入れ替え

銀時が先生の首を刎ねるこのシーン、原作だと話をまたいで、銀時の視点→高杉の視点で描かれてるけど、アニメだと逆だった。

高杉視点で最初に描くことにより、何と言ってるか分からなかった先生の言葉が、銀時視点では「ありがとう」と分かる演出は鳥肌が立ちました。高杉にはあの言葉聞こえてなかったんだ……。

・「ありがとう」と言われた銀時の表情

微笑む前、真顔の表情が追加されてた。なんということだ。なんていうことを……なんていうことを……アニ銀は……。

あの真顔の表情……あれに銀時のどんな思いがにじみ出ていたか……。

あの言葉は銀時にとって予想外だったのかなぁ……。感情が追いつくまでの一拍を描いた、とてつもない追加カットだった。

・先生の髪が散るキラキラ

先生の首が飛ぶところ、一緒に斬られた髪の毛がキラキラ光っているのがすごく印象に残りました。鮮烈な光景だった。

・刃先を握る高杉の血

折れた刃先を拾い、それを握って銀時に向かっていくところ。血が飛び散っているところに、高杉が自らに構わず、刃先を力強く握っているのを感じました。

・崖の上で倒れた高杉が、起き上がりながら銀時に駆けていくところ

「起き上がるまでの動作」が追加されてた。手を縛られてる人のリアルな動き……。地面に額を付けて一度息を吐き出すこの一連の動作が……。子安さんの叫びがものすごい。これについては後述。

・「この左目に最後に映ったのは~」からの夕方描写

時間経過の強調、または次の話のタイトル「烏が哭く=夕暮れ」への布石か。

いずれにせよ、高杉の独白とともに日が沈んでいく描写は、どこか寂しげで、切なさを感じました。

以上、気付いたところだけ。

こうやって書いてみると、本当に細かな演出が追加されてるなぁ……。

原作通りに話が進んでるといっても、全く違う話のような印象を受けるのは、これらアニメ独自の演出のせいですね。

細かいひとつひとつの動作でも、そこから受ける印象が変わったり、キャラの抑えきれない感情が漏れ出ているなど……アニメで見れて本当に良かった。

ただ、逆にアニメでは省かれてしまった点として、セリフのことがあって。

アニメになったときに、くどすぎたり表現不可能な面はあるからしょうがないんだろうなぁとも思うんですけど、

「自らを斬るよりも安くねェ奴がいる、自らを呪うよりも安くねェ奴がいる」のセリフは、ぜひともフルで聞きたかったし、

俺と書いておまえと読む銀時のあのセリフは、やっぱり原作が一番だなぁと思いました。

このあたりの高杉と銀時の言葉遊びにも似たやりとりは、字面にしたとき本当に美しくて難攻不落な日本語なので、

アニメ派の人にはぜひ原作を読んでもらいたいなぁ…。言葉で書き表したとき、また違った印象を受けると思います。

<子安さん、杉田さんの演技>

そう……特に…………子安さん………………。

すごかった。本当にすごかった。子安さんが高杉で、高杉が子安さんで良かったと、今日以上に思ったことはないです。

「俺にはお前が、お前には俺がいる」の力強さ、言葉もなく、ただひたすら銀時を殴りつけているときのうめき声、首を刎ねた銀時に駆けて行く、総督の「銀時ィィィ!!」の叫び声、「俺達ゃ生き残るべきじゃなかった」の自嘲、「知らなかったよ、俺ぁまだ破門されてなかったんだな」の優しさ……

七変化の声を聞いているようでした。高杉にこんな感情があったんだ、とびっくりするくらい……。

あの……いわゆるテラ子安じゃなかった……全然違った…。

特に暗殺篇始まったとき、「高杉めっちゃ声盛ってる!!なんか長篇仕様になってる!!」って思ったので、ギャップが半端なかったです。

そのときどきの、高杉の心情が痛いほど伝わってきました。銀時をひたすら殴りつけるところで我慢してた涙腺が決壊したんです……。7割子安さんに泣かされたっていっても過言じゃないくらい。本当にすごかった。

それに対する杉田さんも、高杉のあの凄まじいほどの怒りや憎しみ、慟哭を、全力で受け止めて、全力で返してるような気がしました。杉田さんじゃなきゃ子安さんを受け止められなかったし、子安さんじゃなきゃ杉田さんを受け止められなかった。高杉と銀時の声優さんが二人で本当に良かった。

10年近くに渡り銀時を、高杉を演じてきた二人が、このセリフをこういう感情で解釈したんだ……ということが、この複雑な高杉と銀時の関係性を手繰るひとつのとっかかりになるような気がします。

なにより、高杉と銀時を名乗れる唯一無二のお二人が、こうこうこういう理解でもってこの演技に挑んだんだな……という事実そのものが、自分にとってとても大事なものです……。

長くなりました。たぶん完結篇と同じくらい泣きました。

言葉にできない感情も多く、あえて言葉にすることにどうしても無粋な面を感じずにはいられませんが……

それでもこの話をアニメで見て、抑えきれなかったことを今この瞬間に、どうしても文字にしたかった。

空知先生、アニ銀のスタッフさん、声優さんがたくさんの気持ちをもって編み出したこの高杉と銀時のお話を、がんばって受け止めたかったんです……。

愛に満ち溢れた30分でした。